Bad。

バッド・モンキーズ

バッド・モンキーズ

“あたしは悪を殲滅する組織の一員なのさ”殺人で逮捕された女ジェインは、精神科医にそう告げた。鮮やかなオレンジ色の銃で悪を葬る―それが自分の任務だと。標的=幼児連続殺人犯、連続男娼殺し、爆弾魔…ジェインの口から語られる悪との壮絶な対決。だが、彼女の告白は「真実」なのか?すべてを監視する「眼」、雑誌に隠された暗号、斧を持つピエロ…都市伝説の不安にアメリカン・コミックのクールネスを搭載、奇術師の周到さで仕立てた、超鋭利な一気読みハイパーアクション!最終章のめくるめく反転に瞠目せよ。

 殺人でつかまったジェインは、悪と戦う組織に所属していると主張していた。その組織の一部門の名は「バッド・モンキーズ」。真っ白い尋問室(ホワイトルーム)での精神科医との対話のなかで、ジェインは組織と関わり合うようになった過去を語りはじめる。「去年、世界貿易センタービルが崩壊した後にスカウトされたんだ。でも、ほんとうは、それが最初じゃないんだ」――。
 たしかに最後に“返し”はあるが、謎解き的な面白さはあんまりない。それよりも、そこに至るまでのアクション・事件・チープさを装う素材――などがこの小説の面白さの大半を占める。オレンジ色の銃、斧、こわいピエロ、マンドリル爆弾――。加えて、語り手への不信がそれを煽る。すべてが精神病者の妄想なのか、それともいくらかは真実なのか。
 個人的には、物理法則も無視したアクションにはちょっと引いたが、それまでの描写や語り方は面白かった。ペーパーバック仕様やこの装画が好きなかたは、本作の趣向も楽しめるんじゃないでしょうか。