終わりを告げる特別区で。

 今年の新潮文庫・話題作。ユダヤ警官同盟』。

ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)

ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)

安ホテルでヤク中が殺された。傍らにチェス盤。後頭部に一発。プロか。時は2007年、アラスカ・シトカ特別区。流浪のユダヤ人が築いたその地は2ヶ月後に米国への返還を控え、警察もやる気がない。だが、酒浸りの日々を送る殺人課刑事ランツマンはチェス盤の謎に興味を引かれ、捜査を開始する―。ピューリッツァー賞受賞作家による刑事たちのハードボイルド・ワンダーランド、開幕。(カバー裏より)


 SF三賞(言わずとしれたヒューゴー/ネビュラ/ローカス賞)受賞作。エドガー賞長篇賞、ハメット賞、最終候補作。
 これを読んで、自分がハードボイルドってあんまり好きじゃないんだなぁ、ということを再認識。
 警官あるいは探偵(役)がふらふら謎を追って、たまに死にかけたり、たまに女と寝たり…、みたいなの。まぁこの小説の場合は、むしろ純愛なんですけど。
 うーん…。そもそも、わたしのハードボイルド認識、間違ってますか??
 ミステリ的な面白さより、どちらかというとユダヤ文化やユダヤ教というものに興味の矛先が向いた感じ。解説読むと、ますます。そういう意味では、現実と違う世界の構築は興味深い。けれど、そこを理解するには、どうしても「現実」を知らない不勉強ぶりがたたるような気がします。この小説も、数ある改変歴史ものと同じように分岐点は第二次世界大戦なのだと思われるけど、ヒットラーチャーチルうんぬんよりさらに遠い…。改変歴史SFって、つねに自分の知識のなさを思い知らされるものです。
 書評などでは、非常に評価の高いこの作品。映画化もされる予定らしく、映像になったら映えるかもな〜という場面もいくつか。