足跡をたどる01

 あけましておめでとうございます。
 なんだかんだと年末の挨拶もできず。。。申し訳ありません。
 たまには足跡を残そう!ということで、遡って、いくつか読んだ本。


『ジャンピング・ジェニイ』アントニイ・バークリーシェリンガムもの(創元推理文庫)。
 ロジャー・シェリンガムは、名探偵ならぬ〈迷〉探偵。ラストで颯爽と「完璧な」推理を披露してくれる名探偵とは違い、ああでもないこうでもないと、時におかしな推理を語りだす。
 今回の舞台は、有名な殺人者&被害者に扮する仮装パーティ。って、現代日本人のひとりとしては、何だそりゃと言いたくなるような趣向のパーティだが、その余興には、悪趣味なことに屋上に絞首台が設えてあり、予想通り(?)パーティの終わりにはそこにぶら下がる人間が…。なんと「探偵役が証拠隠滅をはかろうとする」とんでもない物語で、いちばん捜査を(読者も)引っ掻き回すのが探偵役なのである。
 バークリーの意地の悪さが効果的に出た一作。笑えます。2002年版このミス6位、本ミス1位というのも頷ける〈本格〉ミステリ。

ジャンピング・ジェニイ (創元推理文庫)

ジャンピング・ジェニイ (創元推理文庫)


『幽霊の2/3』復刊リクエスト第一位で世に戻ってきたヘレン・マクロイ幻の名作創元推理文庫
 出版社社長宅のパーティで、余興のゲーム〈幽霊の2/3〉の最中に、人気作家が毒を飲まされて死ぬ…。誰がなぜ、どうやって? 招待客のひとり、精神科医ベイジル・ウィリング博士が調べはじめると意外な事実が明らかになってくるが…。
 この物語が秀逸なのは、途中まで読み進むと、一変して〈本当の謎〉が提示されるところ。そういう話なのか!と思わされること必至です。杉江松恋氏の解説がこの面白さをうまく説明していると思うので、未読の方はぜひ解説を立ち読みしてみてください。

幽霊の2/3 (創元推理文庫)

幽霊の2/3 (創元推理文庫)


『煙突の上にハイヒール』(小川一水/光文社)
 SF度の若干低い、普通小説寄りの短編集。
 そのなかでは、ロボットが人間とともに暮らすのが普通になっていく世界を描いた「おれたちのピュグマリオンパンデミック後の社会・人間を描いた「白鳥熱の朝に」が、SF成分が高くて面白い。

煙突の上にハイヒール

煙突の上にハイヒール

(次の足跡をたどるへ、つづく)