全集に足を踏み入れる。

 一冊の本を読み終わる。次の本を手に取る──。
 次に何を読むか?でパニックになる、ってことはありませんか? ないですか。
 あのシリーズも読みたかった、こっちの叢書も手をつけてない、あれもこれも…と本をひっくり返しているうちに、気持ちが押しつぶされ時間が経ってしまうので、最近はちかいうちに読もうと思っている本を、“積んで”いるのです。。。
 気分によって並べ替えたり、本棚から出したり戻したり。最初は10冊くらいだったのが、だんだん増殖して雪崩を起こしそうな雰囲気に。順番どおり読んでるわけでもないけど、意外と有効です。
 ちなみに積み本の一番うえに置いてあるのは、河出の世界文学全集のチラシ。セット買いしたんだから、読めよ、という自分への戒め。

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 エリック・マコーマック『パラダイス・モーテル』(東京創元社を図書館から借りてきて読む。
 以前、同じ著者の『隠し部屋を査察して』(創元推理文庫を読んでから、こっちの単行本も読んでみたかったけど絶版になっていたので、すっかり忘れていた。
 パラダイス・モーテルのバルコニーでうたた寝をしながら、男は昔、祖父が語った外科医の話を思い出す。その島へやってきた外科医は、妻を殺して、その一部を、四人の子供に体内に埋め込んだというのだ。その子供たちはどうなったのか、男はふと調べてみる気になった…。
 と、ここだけ抜き出すとまるっきり猟奇ミステリのようでもある。けど、見返しの紹介文にも「虚実の皮膜を切り裂く〈語り=騙り〉の現代文学!」とあるように、祖父の話、自己喪失者研究所の所長の話、退職した新聞記者の話、…どんどん広がっていき、本筋と関係ない細部の広がりも読ませるし、最後も…。第二長編『ミステリウム』も翻訳されればいいのに。絶版になっているくらいだからなぁ、期待薄か。

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 『世界文学ワンダーランド』(牧眞司本の雑誌社に、『パラダイス・モーテル』の紹介が載っている。この文学ガイド、前から持っていたのだが、思いついたときに読みたいところからつまみ読みしていたら、どこを読んでないのかわからなくなってしまった。ので、最初から読み直そうとしはじめたのである。
 そのなかで出てきた『やし酒飲み』。これは全集に入ってる。『精霊たちの家』も入ってる。読まねば、読まねば…。で、やっと全集に手をつけはじめる(遅い…)。『やし酒飲み』を読んだ。同じ本に収録されている『アフリカの日々』をいま読んでいる…。そして、合間にちがう本も読んでいる…

隠し部屋を査察して (創元推理文庫)

隠し部屋を査察して (創元推理文庫)

世界文学ワンダーランド

世界文学ワンダーランド

アフリカの日々/やし酒飲み (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-8)

アフリカの日々/やし酒飲み (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-8)